【教育学部】フリースクール、内田稔副理事長の特別講義

2023.05.15

教育学部

 社会科教育(橋本)ゼミ話では5月10日(水)にフリースクール「ならはらの森 なかの学舎」の内田稔副理事長にご講義をいただきました。お話は①話の前提としての「多様な意見を受け入れる対話」、②「今、子ども達は幸せか」、③「その子にとっての幸せは誰が決めるものなのか」、④「子どもの権利は守られているのか」、⑤「なかの学舎の実践について」と、5つに分けてお話しいただきました。

「今、子ども達は幸せか」

 日本の子ども達の幸福度を表す指標として、2020年9月3日にUNICEFが発表した「先進国の子どもたちの精神的・身体的な健康と、学力・社会的スキルについて調査報告書」の結果から、日本の総合順位は38カ国中20位であり、幸福度が高くない現状が示された。その内訳は身体的健康(子どもの死亡率の低さ、過体重・肥満の子どもの割合の少なさ)が1位、精神的幸福度(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)が37位、スキル(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)が27位と言うばらつきのある結果になっている。特に精神的幸福度が37位だったのには学生は驚いていた。この調査結果は一つの指標でしかないが、「今、子どもたちは幸せか」と言う問いに対して学生は「とても考えさせられる結果」と話していた。中でも「happiness」と「well being」は両方とも「幸福」という意味を持つ言葉。しかし、深く考えてみると意味合いは大きく変わってくる。「happiness」は一時的な幸せ、それに比べて「well being」は持続的な幸せとなる。日本の子ども達はどのように幸せを感じているかと問題提起された。

「その子にとっての幸せは誰が決めるものなのか」

 「教育」とは子どもをよくしようとする働きという意味合いがある。しかし、この「よさ」を決めるのは誰なのか、大人が決めるのか子どもが決めるのか、その一つの指標として「結果像志向」と「過程像志向」をご紹介いただいた。「結果像志向」は大人目線で、「この子にはこうなって欲しい!」という思いからさせる教育。一方、「過程像志向」は子ども達が「自らこれをやりたい!このために勉強したい!」など、子ども達の目線で受ける教育となる。この考えを踏まえ、内田さんは現在の日本の公教育は、「結果像志向」のみに偏っているのではないか?「well being」持続可能な幸せを実現していくためには、「結果像志向」と「過程像志向」のバランスとともに多様な選択肢が必要ではないかと問題提起された。

「子どもの権利は守られているのか」

 次に「子どもの権利条約」の4つの原則「生命、生存および発達に対する権利 」、「子どもの意見の尊重」、「子どもの最善の利益 」、「差別の禁止 」を通してご講義をいただいた。日本人の子どもの権利条約の認知度は2.2%しかないという調査結果をもとに「こんなに少ない人しか知らないのに子どもの権利なんて守れるのか」また、「教員がよく、『子どもに権利を与えるとわがままになる。その前に義務を果たせ』と言っている。しかしこれは子どもの権利条約に反しているのではないか?子どもには権利しかないはずである。義務は大人にこそある」ともおっしゃられていた。

 さらに、不登校の原因について、学校・教育委員会は、約5割が本人の無気力であると回答したのに対し、不登校経験者らは約3割が教員との関係によると回答しているという事実を示し、双方の認識に大きな乖離があることを指摘された。また、かつて根強かった不登校の原因は児童生徒本人やその家庭にあるとする考え方は改められてきており、不登校を子どもの権利の視点から捉えるならば子どもの意見表明として考えることができる、との考えを示された。最後に、子どもの最善の利益を求める取組の1つとして、フリースクール「ならはらの森 なかの学舎」の実践を紹介された。

 学生からは様々な感想が出たが、論より証拠で「ならはらの森 なかの学舎」への見学に行き、その目で確かめることとなった。

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