2023.11.14
去る11月9日にJICA(独立行政法人国際協力機構)東京センターで市民参加協力事業を担当されている深林真理さんに共栄大学にて西アフリカでのご経験と国際協力について語っていただきました。
深林さんは自衛官として勤務した後、JICA海外協力隊でチュニジアに2年間勤務、その後、広島大学大学院で修士課程を修了後、JICAベナン支所、ルワンダ支所等に勤務され、更に民間コンサルタント会社で西アフリカ諸国の村落給水や衛生分野のプロジェクトに従事され、現在はJICAで日本の地域と海外をつなげる仕事に従事されています。
講義の中では、映画「スターウォーズ」の撮影現場となったチュニジアの広大な景色の紹介や日本との文化の違い、特にアジア人への差別から、外を歩いている時に石を投げられ、民族的なマイノリティーの気持ちを理解できたこと等について話されました。また、ベナンでは、その日暮らしが精一杯で将来のことを考えられないほどの貧困があること、ルワンダではジェノサイド(民族的対立による虐殺)という悲惨な出来事で目の前で大切な人を失い心の傷を抱えている人とどのように対話し、信頼関係を構築していくのか、日本の国際協力を通じてどのように民族的和解につなげていくのかについての苦労話もお聞きすることができました。
講義の最後には学生へのメッセージを頂きました。「将来どのような仕事についても世界とのつながりがある」、「世界はつながっており、自分たち(日本人)だけ良ければ良い訳ではない」、「日本人の価値観だけで見るのではなく世界を俯瞰的に見て考える習慣をもってほしい」、更に、「ネット情報だけに頼るのでなく、五感(見る、聞く、触る、匂いを嗅ぐ、味わう)の体験をもって世界を知ってほしい」、と熱く語られました。
特別講義に参加した学生24名からは、「文化の違いをどのように活用できるか」、「女性として自衛隊での勤務とJICAでの勤務はどうであったか」等々の質疑応答がされました。また開発途上国出身の留学生からは、JICAの協力で希望が持てる、との感想もありました。
インターネットで海外の情報が気軽に入手できる時代である反面、日本全体では若い人の海外への関心が薄まってきているようです。そのような中、今回、現場経験を直接伺った受講生は海外への関心を深め、海外の中にある日本の役割を理解する機会を得ることができました。