2023.12.01
フィールドワークⅡ、及び、中田ゼミでは、フリーライターの町田さんを特別講師としてお招きし、「メディアと観光 月刊『散歩の達人』にみるフィールドワーク&リサーチのすすめ」というテーマで講義いただきました。町田さんは、首都圏を中心に特定の町、テーマを定めて、町歩きを楽しむための雑誌『散歩の達人』で長年編集者として活躍された、いわば、町歩きの達人です。
観光ビジネスは、国際経営学部のひとつの柱であり、将来は観光産業で働きたいと考える学生や、観光を使って町の活性化を考えたいなど行政におけるまちづくりに興味を持つ学生もいます。町の魅力を引き出し、発見し続けることを仕事にしてきた町田さんは、学生たちに向け、様々な視点を与えてくれました。
例えば、企画をつくる前には、「徹底的に町を知る」ことが大切であり、町のイメージにはポジティブな面とネガティブな面、イメージとリアルなど、表裏を知るアプローチから入り、その乖離にこそ、面白さが隠れていることをお話しいただきました。
また、学生世代は雑誌よりも身近なメディアとして、ネット媒体を利用することが多く、「紙媒体で雑誌を展開する意味は、どんなことがあるか」などの質問がなされました。事前に下調べをした号を使い、ネットであれば、順にスクロールして確認することしかできず、みる順番も固定されるが、紙媒体であるからこそ、見開きのページでどんな風にみるか、どこを中心に見るかを選べる楽しさが生まれることなど、説明いただきました。
町田さんの講義からは、キーワードとして「町の性格」という言葉が何度も出てきました。企業や自治体では、「観光を使う」という視点にとらわれ、観光地を単体のスポットとして、消費を促すことや魅力を探していくというアプローチをとることが多くありますが、町の歴史背景や、スポットへ行くまでの道中や寄り道ポイントなどを含め、決して単一ではない複雑な性質を知ることで視点が変わり、「過程を楽しむということ」にヒントがあることを学びました。
特別講義の振り返り授業では、学生にとって意外であったこととして、「都度、読者ターゲットを変えること」、「知らない人ではなく、知っている人にのみ向けて作成される号があること」などが挙がりました。また、5W1Hを意識した発信とのことであったが、「山手線特集はなぜ、新情報が付加された特定駅のみを集めた形ではなかったのか」という疑問が挙がり、クラス内で自身はどちらを読みたいか、両社のメリット・デメリットは何かという議論に発展し、講義の内容に関して理解を深めるよい展開となりました。
多くの新たな視点や気づきを与えてくださった町田さんには、感謝申し上げます。