【国際経営学部】中田ゼミが東京ジャーミイを訪問

2024.07.08

国際経営学部

施設内で説明を受けるゼミ生

 

 中田ゼミでは、観光の多様化と観光産業の在り方について学んでいます。6月6日の午後に日本最大のモスクとしても知られる東京ジャーミイ(東京都渋谷区)を訪問しました。

 ゼミでは、コロナ以前より増えていたムスリム(イスラム教徒)観光客が日本を訪れる際、受入体制が整っておらず、食事や礼拝場所に困り、ハラル(イスラム教徒にとって許された食事の意味)のインスタント食品を持参することや、観光施設付近で祈祷場所の情報を得られにくいことなど、ムスリムの習慣を尊重しながら旅行することの難しさを確認してきました。食事や祈祷を中心にムスリムの習慣に関して学習してきましたが、日本人にとってイスラム教とはどのような宗教なのかということは、触れる機会が少ないことからイメージがしにくい状況であり、今回の訪問は、どのように異文化を受けとめるのがよいのかを体感するよい機会となりました。

 まず、ガイドの下山さんからムスリムの外国人が東京ジャーミイへ訪れる機会がこの数年で増加しており、訪問者の中心は訪日観光客と若年層の研修生であることが多いことを説明いただきました。一時滞在者以外にも、外国人定住者も訪れているという話の展開のなかから、ある子どものエピソードをご紹介いただきました。ムスリムのお母さんがスカーフを巻いて、小学校を訪れた際に「お母さんはテロリストか?」と同級生に聞かれ、ひどく傷つき、「お母さん、もう学校へ来ないで」と言うようになってしまったというお話でした。

 これは、どんなことが原因で起こってしまったのでしょうか。彼彼女の周囲にいる人は、具体的にどのような働きかけができれば、傷つけずに過ごすことができたでしょうか。学校、会社、公共の場でも、同じようなことが生じる可能性があるでしょう。多様な人が集う場所でどのように共生していくことがよいのかを考えること、積極的に異なる文化を学び合う姿勢の重要性がわかりました。

 今回の訪問では、その他、イスラムの文化がルーツとなって展開されたもの、メッカ巡礼についてのお話しなども伺い、ゼミ生は次のような学びや感想を得ました。旅の歴史は宗教ツーリズムから発生しており、巡礼が団体旅行化したのは盗賊に襲われないためであり、商業的な理由ではなかったこと。年間300万人の人がメッカ巡礼しているが、とある国ではメッカへの巡礼に訪れたい人は10年15年その時を待っていることもあり、聖地を巡礼することへどれほどの人達が思いを馳せているのかを知った。日本のなかでイスラムに対する偏見をどうしたらなくしていけるのかを考える機会になった。など、訪れて直接イスラム教徒の方からお話しを伺うことで、皆でまた考える機会を与えていただきました。

 観光には、「文化交流、異文化理解」の効果があります。新たな場所を訪れる際は、その地の背景に関心を持って準備し、その地で実際にその文化を持つ人たちと交流することで新しい文化を取り入れることができたら、双方の文化を尊重できるようになり、他では代替えしにくい効果があることを改めて感じました。ご案内していただいた下山さんには、心より感謝申し上げます。

東京ジャーミイ 入口前

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