2024.07.18
小林ゼミでは開発途上国の貧困問題や開発協力そしてSDGsについて学んでいます。去る7月4日に同ゼミ生がSDGsに取り組む「株式会社アペレ」(埼玉県川口市)を訪問しました。今回の企業訪問は、実際に日本の企業がSDGsに関して現場でどのような取り組みをしているかについて学び、ゼミ生の研究テーマのイメージづくりや、将来を考える機会となることを目的として実施しました。
株式会社アペレはJICA(国際協力機構)からの支援を受けて、同社が開発途上国向けに開発した新生児黄疸検査専用機器(血液検査機器)をベトナムのホアビン省に所在する公立病院に試験導入し、新生児黄疸の早期診断・治療に対する効果を実証するとともに、導入先病院の医療従事者や検査技師に研修を行うことを通じて同製品のベトナム国内医療機関への普及に向けた活動を行っています。
柏田社長からは、先代のお父様がアセアン各国の医療施設を訪問した際に、開発途上国では日本で使われているような高機能の医療機器よりも、単機能で使用方法がわかりやすく、メインテナンスもしやすい医療機器の方がニーズが高いことに気づかれ、そこから独自の医療機器の開発をはじめ、現在では50カ国に販売展開をされているとの説明をされました。販売先拡大に向けて海外の展示会に柏田社長自らが積極的に参加し、「海外の人が使いやすいものを日本品質でつくる」をモットーに、これまでアセアン地域や中東地域で商談を成功させてきたとのことでした。商談においては海外からのバイヤーに対し、その場で交渉し決断するスピード感が重要と力説されました。
しかし、ベトナムにおいては販売が難航していたことから、あえてベトナムに進出することを決断され、現地で工場を立ち上げた後に、現在はベトナムでの販売普及に向けて取り組まれているとのことです。ゼミ生は実際にベトナムで製造された機器の品質管理を行う現場を見学させていただきました。
ゼミ生からは、海外進出先は他にどのような国があるか、海外に販売する機器の価格は何を基準に決定するのか、中小企業が海外進出するにあたり若い社員をどのように取り入れるのか、などの質問が出されました。
企業訪問終了後、ゼミ生からは、「売れるかどうかわからないものに投資をする判断をすることは難しいのに、柏田社長の難題を乗り越える決断力、行動力、競争力が非常に印象的でした」、「海外では大手の企業の強みが目立ちやすいですが、中小企業でも独自の強みがあることにとても興味深く感じました」、「従業員の人数が少ない中でも中小企業として色々な国の人たちの命を救うために日々取り組んでいるのだと思いました」などの感想がありました。
柏田社長が海外進出についてお話しされる際に、「自分の会社でなくても良い。ただ新生児が重傷化しないように品質の良い機器を拡げたい。」というご発言が特に印象的でした。
今回の訪問にご協力くださいました柏田社長様、そしてJICAの清水様、髙橋様に感謝申し上げます。