2025.10.16
共栄大学 国際経営学部 伊藤研究室では、TVアニメ『邪神ちゃんドロップキック』と連携し、SNSの使い方を“10の事例を通して理解する”無料動画教材「邪神ちゃんと学ぶ!SNSとの上手な付き合い方」(全10話)を公開しました。(公開サイト:https://taiga.ito.asia/jcdk/)
本教材は、中学校・高等学校の「技術・家庭科(技術分野)」や「情報科」、「総合的な学習・探究の時間」などで活用できる内容で、教員向けの学習指導案例もあわせて提供しています。 授業の導入や振り返りにも取り入れやすく、幅広い教育現場での活用が期待されます。
国際経営学部の伊藤研究室(伊藤大河 准教授)は、ICTや生成AIなどの技術を教育現場に取り入れ、学習意欲や情報モラルを育む教材開発や教育実践に取り組んでいます。これまでにも、動画教材やVRを活用した学習支援、生成AIを用いた企画提案支援システムの研究などを進めており、今回の教材はこれまでの研究や授業実践をもとに企画されました。
本教材は、SNS利用に潜むリスクを過度に強調するのではなく、キャラクターの会話を通じて“どう使えば安全で楽しいか”を考える構成にしています。シリーズ全10話は、TVアニメ『邪神ちゃんドロップキック』のキャラクター「邪神ちゃん」と「花園ゆりね」が登場し、個人情報の取り扱いや著作権、フェイクニュースなど、身近なトラブルを題材にSNSリテラシーを学びます。各話は独立しているため、授業の導入・発展・振り返りなど、目的に応じて自由に組み合わせて活用することができます。
スマートフォンの普及により、SNSを通じた情報発信が当たり前となる一方で、若年層のトラブルも後を絶ちません。伊藤研究室では、SNSの危険を単に警告するのではなく、利用者自身が「自分の発信を見直し、より良い使い方を考える力」を育む教材の必要性を感じ、本教材を企画・制作しました。制作にあたっては、邪神ちゃんドロップキック製作委員会および宣伝プロデューサー:栁瀬一樹氏の協力のもと、教育現場での活用を前提に、分かりやすさと実践性を重視した内容に仕上げています。
本教材は、各話を独立した短編形式として制作しており、教員が教えたいテーマだけを選んで授業に組み込めるのが特徴です。Webサイト上では、教材動画に加えて中学校「技術・家庭科(技術分野)」向けの学習指導案例も公開しており、授業の進行に応じて柔軟に活用できます。今後は、中学校や高等学校の授業での活用を通じて効果や課題を把握し、その結果を踏まえて教材内容の改善や新たな展開につなげていく予定です。
【伊藤大河 准教授のコメント】
SNSの危険性やリスクを強調するのではなく、どうすれば安全に使えるかを共に考える教材にしたいと考えています。動画の中では、邪神ちゃんが失敗し、それをゆりねが冷静に指摘していくやり取りを通して、生徒が「自分だったらどうするか」を考えるきっかけを作っています。また、クラスの実態に合わせて、教員が教えたいテーマだけを選んで利用できるように、オムニバス形式の短編映像として制作しました。
本教材は、SNSを正しく理解して安全に活用する力を育むことを目的としており、教育現場での実践を通して、情報社会における新たなリテラシー教育の形を模索していきます。
【各話リスト】
『うっかり公開危機!地名と住所は落とし穴ですの』
自撮り動画をSNSに投稿しようとした邪神ちゃん。しかし背景に映った電柱や荷物の送り状から住所や名前が分かり、個人情報流出の危険性を学び、投稿前の確認の重要性を知る。
『通行人トラブル!他人のプライバシーを守るですの』
街中で撮影した動画に通行人が映り込んだ邪神ちゃん。無断撮影はプライバシー侵害につながり、トラブルの原因に。許可を取るか、ぼかし加工を施す必要があると理解する。
『リプライ地雷!知り合いの本名をバラしちゃダメですの』
リプライで知人の本名を書き込んでしまい、相手のプライバシーを不用意に晒してしまう邪神ちゃん。SNSではイニシャルやニックネームを用い、他人の情報を守る意識が重要だと学ぶ。
『SNS探偵登場!投稿のピースが居場所を特定するですの』
商店街とカフェの様子を別々のSNSに投稿した邪神ちゃん。投稿を組み合わせることで居場所が特定される危険を知り、リアルタイム投稿を避けるなど工夫の必要性を実感する。
『非公開は安全じゃない?スクショで流出ですの』
非公開アカウントなら安全と考え、変顔を仲間内限定で投稿した邪神ちゃん。しかしスクショで拡散され炎上。非公開設定でも情報は流出し得ると学び、慎重な利用を心に刻む。
『デジタルタトゥー恐怖!消したはずが消えてないですの』
誤って公開した動画を削除して安心する邪神ちゃん。しかし既に保存・再投稿され拡散し「デジタルタトゥー」に。ネット情報は完全に消せないと知り、投稿前の慎重さを学ぶ。
『AIの逆襲!モザイク解除で秘密がバレバレですの』
モザイクをかけて安心した邪神ちゃん。しかしAIで簡単に解除され、隠した秘密が流出。モザイクは不十分で、黒塗りやスタンプなど確実な方法、あるいは投稿回避の大切さを理解する。
『危険なアップロード!アニメの切り抜きはNGですの』
録画したアニメの切り抜きをSNSに投稿した邪神ちゃん。ファンサービスのつもりが著作権侵害に。作品やクリエイターの権利を尊重し、正しい方法でファン活動を行う必要性を知る。
『感情爆発炎上!投稿は冷静にするですの』
フォロワーに腹を立て、怒りに任せて悪口を投稿した邪神ちゃん。すぐに炎上し大問題に。感情的な発信は名誉棄損やハラスメントにつながり、冷静さを欠くと大きなトラブルを招く。
『フェイクの罠!AI動画に騙されないですの』
驚く動画を拡散した邪神ちゃん。しかしAI生成のフェイク映像の可能性を指摘される。見た目だけで信じず、信頼できる情報源で真偽を確かめる重要性を学び、冷静な判断の必要性を知る。
【スタッフ】
<原作>ユキヲ(「COMICメテオ」連載/フレックスコミックス刊)
<企画>共栄大学 国際経営学部 伊藤研究室
<学術監修・脚本>伊藤大河
<制作>栁瀬一樹(宣伝プロデューサー)
<出演>邪神ちゃん:鈴木愛奈、花園ゆりね:大森日雅
<協力>ノーマッド
© ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキックX製作委員会
© Taiga Ito・共栄大学国際経営学部伊藤研究室
本教材はJSPS科研費JP21K02474の助成を受けて制作しました
【関連サイト】
邪神ちゃんと学ぶ!SNSとの上手な付き合い方