2019.02.10
大学入試センター試験も終わり、いよいよ大学入試も佳境に入ってきました。もう既に意中の大学の合格を決め、すっかり落ち着いた人もいるのではないでしょうか。まだこれからが本番で、今まさに緊張の日々を過ごしている人も多くいらっしゃると思います。インフルエンザが蔓延する中、体調の維持に最大の注意を払い、ベストの状態で試験に臨んで頂きたいものです。
入学試験も終わり余裕が出てきたみなさんには、ちょっと眼を世界に向けて頂きたいと思います。今はグローバルな視点で物事を捉える事が求められます。いわゆるグローバル時代と言われる現代では、世界のさまざまな国で起きる出来事に無関心ではいられなくなっています。それはインターネットの登場により情報が瞬時に世界を駆け巡るようになったからではないでしょうか。迅速に駆け巡る情報にストップをかけるとか、情報の選別に躍起となっている国々もあるようですが、いろいろな情報が国境を越えて自由に出入りする「ボーダレス社会」は確実に進化していくに違いありません。
残念ながら未だ政治、外交の世界ではいろいろな問題が発生し、緊張感溢れるニュースが報道されない日はありません。それぞれの国の国内事情が大きく絡んでおり、自国民への説明上、やむなく発言したことが大きく取り上げられていることもあるのかも知れません。政治、外交の世界では諸事情によって円滑には進まないことがあるのであれば、政治上の立場とか思惑とかなんのしがらみもない民間の人々の交流がこれからは極めて重要になるというのは誰の眼からみても明白です。これからの世界を生きる若者同士の交流が、ボーダレス社会の相互的結びつきをより強固にするエンジンとなるのではないでしょうか。
「アドラー心理学」で有名なオーストリアの心理学者、アルフレッド・アドラーはこう言っています。「過去に縛られない」「対人関係の基礎に無条件の信頼を置く」即ち、過去の出来事であるとか、先入観等に捉われずに無条件の信頼を相手との関係のベースにおけば、相手との間に信頼醸成が出来るという事です。今こそアドラーの言葉を胸に民間ベースで若者が中心となって多くの国の人々と交流を図って欲しいものです。訪日外国人の数が飛躍的に伸びています。来年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されます。どんな小さな機会を捉えても、民間人の中心として学生のみなさんが積極的に外国の人々と交流する時代が来るようになれば、建前だけを前面に押し出して形だけを整えようとする外交関係も変化せざるを得なくなるのではないでしょうか。その時こそインターネットが作り出した「ボーダレス社会」が、真の意味の世界平和を作り出すキーワードになると確信しています。「学生を中心とする民間人の活発な国際交流が、政治・外交を正常な軌道に戻す」
そんな日々が来ることを思い描きながら私は寒い冬が遠く去り、暖かい春が来るのを待っています。
2019年2月1日
共栄大学
学長 加藤彰