【2019年12月】加藤学長からのメッセージ

2019.12.01

学長メッセージ

「光陰矢の如し」とは良く言われる言葉です。「時間は放たれた矢のように瞬く間に過ぎ去っていく」という意味で使われています。本当に時の流れは速く、この言葉をいろいろな想いで心に受け止めている人は決して少なくはないでしょう。私だけでなく、多くの人々が同じ想いで時の移ろいの機微を感じているのではないでしょうか。今年5月に新時代、「令和」の時代が始まりました。その令和元年のカレンダーもこの1枚だけになります。

先日、手に取った本に「光陰矢の如し」の事が書いてありました。この言葉が使われるのは「過去の時の過ぎ去るのが早いと感じた時」、「過去の過ぎ去った時を感慨深く感じた時」そして「未来に関して時間を大切にしたいと思った時」の3つの場合があるとの事でした。

確かに時間が大切である事を表す言葉であり、人それぞれが持つ時間に関する感傷を表すには最適な言葉なのかも知れません。

これから大学生活を迎えるみなさん、特にこれから大学受験に挑戦するみなさんにとっては「未来に関して時間を大切にしたい」と思う時に「光陰矢の如し」と感じるのではないでしょうか。今まで行ってきた受験対策、万全の用意は出来たのか、まだやるべきことがあるのではないか。そんな不安に駆られた時、これから受験本番までのみなさんの時間はまさに光陰矢の如く過ぎ去るように感じるのだろうと思います。でも決して焦る必要はありません。多くの受験生が21世紀に生まれた新しい時代のみなさんは、人生100年を生きる人たちです。この数か月、数年で自分の長い将来を簡単に判断してはもったいないと思うのです。みなさんの前にはまだまだ80年近い時間が残されているのです。早く受験戦争から逃れたいと思う気持ちは解らないわけではありません。しかし自分が一度描いた夢を、ここ数か月で簡単に変えるのではなく、是非初志貫徹の意思を改めて確認してみてはどうでしょうか。

「少年老い易く学成り難し」という言葉もあります。これも時の流れの速さを言っている言葉です。この言葉の出どころは諸説あるようですが、中国の儒学者、朱子が残した漢詩と言われています。その一部を紹介すると「少年易老學難成」とあり、更に「一寸光陰不可軽」と続きます。即ち、「少年老いやすく学成り難し。一瞬の光陰軽んずべからず」「学問は容易に修める事が出来ないのだから、少しの時間も無駄にすることなく勉学に励むべき」と言っています。確かに時間が経過するのは矢のように速いかも知れません。学問を修めるのは容易ではない事も事実です。しかし、人生100年時代のみなさんにはまだまだ時間が残されており、眼前には大きな未来が広がっています。自分が描いた夢を今一度見つめなおしてください。そして初志貫徹に値する夢であるかどうか、今一度改めて確認してください。

新しい年の明けるのを眼前に控えた年末は、自分の行く末を想像し、来る新しい年にやるべき事を考える、そしてその夢へ向けた想いを更に強くするには最適の時ではないでしょうか。

2019年12月1日
共 栄 大 学
学 長 加藤 彰

一覧に戻る
ページトップへ