2022.11.29
国際経営学部の橋本佳恵教授が、11月26日(土)に行われた第12回共栄大学オープンキャンパスにおいて来校した高校生たちに模擬授業を行いました。橋本教授は、国際経営学部の専任教員(先生)で、授業の題名は「『観光』が現代社会を解決する」でした。
授業の最初に橋本先生は、現在社会において日本の国際観光の出発点は1964年で、その年に第1回東京オリンピックが開催され、東海道新幹線が開通し、日本人の海外旅行が自由化されたと説明されました。日本は2003年に「観光立国宣言」を発し、その後、訪日外国人旅行者数が急増したそうです。世界の国際旅行者数も年々増加しており、コロナ禍前には14億人を超え、2030年には世界の旅行者数は18億人に達すると予測されています。現在、観光産業は、世界のGDP(国内総生産)合計の10.4%を占め、雇用面では世界の雇用者の10人に一人が観光産業に従事しているそうです。観光は世界経済を牽引する巨大産業で、日本でもこれから成長が期待される重要な産業です。
また、現在の日本社会における重要な課題をも観光産業が解決しているそうです。日本は人口減少社会を迎えており、人口減少による地域社会の衰退が各地で発生していますが、その解決手段のひとつとして観光が注目されています。人口減少によって地域の経済活動や商品が消費される量が減少していくのにたいして、その消費量や消費額をその地域を観光する人々(「交流人口」というそうです)にカバーしてもらう、という考え方です。2019年のデータから計算すると、外国人旅行者が日本のある地域を観光で訪れ平均的な額のお金を使ってくれると、たった8人の観光消費で、減少した日本人一人の年間の消費額をカバーできるそうです。日本人の日帰り旅行者の場合は、75人になるとのことです。
高知県黒潮町は、人口約1万人の小さな町ですが、「私たちのまちには美術館がありません。美しい砂浜が美術館です」をキャッチフレーズに、美しい砂浜一面にTシャツを展示する「Tシャツアート」や砂浜でのマラソン大会、花火大会等の様々なイベントを次々に企画・実施し観光客を魅了しているそうです。同様に長野県阿智村は人口わずか6,500人の小さな村ですが、環境省による「星が最も輝いて見える場所1位」に認定され、その美しい星空を見に多くの観光客が訪れ、地域の活性化につながっているそうです。どちらも、地域の人たちが自分たちの地域の魅力に気づき、磨き、情報を発信することで、観光資源が何も無いと思われていた地域に変化がもたらされた例です。移住者の獲得は困難ですが、交流人口の拡大には観光産業が強みを発揮しています。そのような「地域をマネジメントする」という観点から、経営の知識をもった人材がこれからますます必要とされるそうです。
最後に、橋本先生は来校した高校生たちに「あなた方が住んでいる地域について、将来、観光資源となりそうな新たな魅力の『種』を探してみましょう」と問いかけ、模擬授業は終了しました。
次回の共栄大学のオープンキャンパスは、1月15日(日)です。是非皆様お越しください。